東大、高温超伝導が生まれる過程に新しい電子構造を発見

東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻助教の酒井志朗氏、准教授の求 幸年氏、教授の今田正俊氏らは、異常な金属状態の電子を調べ、電子の持つエネルギーのうち、従来見過ごされてきた正のエネルギー領域に、異常さを理解する鍵となる電子構造があることを見出した。

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まず銅酸化物の理論模型についての大規模数値計算を行い、同時に、パリ第7大学の実験グループと共同で、銅酸化物に、ある波長の光を当てた時に電子が放出する光の波長・強度分布を解析し、正のエネルギー側の電子構造を調べた。

その結果、正のエネルギー領域のある範囲で電子が存在できないような構造(ギャップ)があることを明らかにした。

このことは、超伝導が出現する元となる金属の電子構造が従来考えられてきたものとは本質的に異なることを示す。この成果を活用し、高温超伝導理論を確立することで、今後さらに高い温度で動作する高温超伝導物質の開発が加速される。また、この成果を活用してスーパーコンピュータ「京」の戦略プログラム課題と連携し、「京」を利用した高温超伝導の物質探索、機構解明を行なう。

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