東大、歯周靭帯(歯根膜)の成熟と機能を特徴づける分子を発見

東京大学医学部附属病院集中治療部の小宮山雄介氏、東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻特任准教授の大庭伸介氏、教授の鄭雄一氏らのグループは、ドイツ ルートヴィッヒ・マクシミリアン大学講師のDenitsa Docheva氏、京都大学再生医科学研究所准教授の宿南知佐氏、教授の開裕司氏との共同研究で、テノモジュリン(Tenomodulin、以下Tnmd)という分子が、歯周靭帯の発生と機能に関わることを新たに見出した。

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歯周靭帯(歯根膜)は顎骨内に歯を牽引固定する重要な組織であり、咬合力への抵抗性、接触感覚などの重要な機能を担っている。一方で、口腔衛生状態の低下によって歯周炎に罹患すると破壊されてしまい、失われた歯周靭帯を再生させることは非常に困難で、今のところ歯周靭帯を含め、歯周組織を完全に再生させる有効な療法はない。現在、歯周組織を再生する研究は多岐に展開しているが、機能的な再生を評価する指標が乏しく、再生組織が腱・靭帯としての性格を有することを評価できなかった。

Tnmdは成熟腱・靭帯組織のマーカー分子であるのみならず、機能的にも腱・靭帯組織を特徴づける分子であると考えられる。本成果が、歯周靭帯をはじめとする腱・靭帯組織の再生医療において、機能的な組織の再生療法を開発する際の足がかりとなることが期待される。

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