北海道大学大学院医学研究科客員教授の本間研一氏は,体内時計の機能が完全に消失し,行動リズムが発現しない時計遺伝子 Cryptochrome(Cry)欠損マウスでは,体内時計を構成する個々の時計細胞はリズム発振機能を維持しているが,個々のリズムを同期させる細胞間ネットワークが働かないために,時計機能が消失していることを見出した。
細胞間ネットワークが完成するのは離乳期前後で,Cry 遺伝子はネットワークの発達に関与していると考えられる。さらに,細胞間ネットワークが発達しなかった Cry 欠損マウスの体内時計に出生直後の正常マウスから得られた脳組織(視交叉上核を含む)を作用させるとリズムが回復することを確認し,脳に含まれる液性物質が先天性リズム障害動物である Cry欠損マウスの体内時計の正常化に有効であることを示した。
体内時計の発達を促す因子の究明,さらには,リズム障害への治療法の開発につながることが期待できる。また,新たな脳内神経ネットワークの形成メカニズムの解明につながると期待される。
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