日本電信電話(NTT)と三菱電機が2000年に共同開発した暗号アルゴリズム「Camellia」が,インターネット上の通信などで最も普及が進んでいる128ビットブロック暗号のカテゴリーにおいて,デファクト標準である米国政府の標準暗号AESと並び,数ある国産暗号の中から,唯一新たな電子政府推奨暗号リストに採択された。
これは,「Camellia」が政府系情報システムの調達において,国産暗号の中で最も高い安全性と調達容易性を有していると評価されただけでなく,我が国の情報セキュリティ産業の競争力向上を先導する技術として期待されていることを意味するという。
「電子政府推奨暗号リスト」とは,暗号技術検討会及び関連委員会(CRYPTREC)により,2003年2月に制定された。制定から10年目を迎え,内容の見直しによって「電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC暗号リスト)」に改定され,安全性及び実装性能が確認された暗号技術について,市場における利用実績が十分であるか今後の普及が見込まれると判断。当該技術の利用を推奨するものを新たな電子政府推奨暗号リストとして採択することになった。
NTTと三菱電機は,2001年に「Camellia」基本特許の無償化を,2006年にはオープンソース化を行なった。国内外で認められた国産暗号がオープンソース化されるのは日本で初めてのことで,その結果,OpenSSL,Firefox,Linux kernel,FreeBSDなど国際的に有名なオープンソースプロジェクトにも数多く採用されるとともに,多くの国内外の市販製品で採用が進んでいる。
また,標準化活動にも力を入れており,世界最高レベルの安全性と実装性能に優れた暗号方式として既にISO/IEC国際標準暗号をはじめ,欧州連合推奨暗号や,暗号通信プロトコルSSL/TLSなどインターネット関連規格を含め数多くの国際標準規格・推奨規格に採用されている。
両社は,今後も「Camellia」が搭載されたオープンソースソフトウェアや暗号製品及びそれらを活用したアプリケーションサービスの開発を推進していく方針だ。