光と電気を融合した実装システムの国プロが始動

 技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)は経済産業省が平成24年度から創設した未来開拓研究プロジェクトの一つである「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」を受託し,東京大学などと産学官のプロジェクト推進体制を構築して本格スタートさせた。

 このプロジェクトでは平成24年度から10年間で約300億円が投じられる。プロジェクトリーダーは東京大学教授の荒川泰彦氏で,PETRAを中核に産学官120名を超える推進体制を構築し,現在のLSI技術が直面する電力消費増大・微細化ネックの壁を乗り越え,光配線技術の導入をキーにLSI実装システムのパラダイムシフトを図る。具体的には情報機器の電力消費の低減を目的に,開発計画に基づいて電子機器の配線を光化する光配線技術と電子回路技術を融合させた光エレクトロニクス実装システム技術を開発する。最終目標としては多数のLSIを高集積した小型・高速動作・低消費電力な光電子融合サーバボードのプロトタイプを開発し,データセンタレベルで運用の可能性を実証する。また,開発した成果については事業化を推進させるとともに,知的財産の取得と事業化に必要な国際標準化にも取り組む。LSI間の電気配線を光配線化することにより,信号伝送に必要な消費電力を1/10に削減でき,また光配線接続により,接続ピッチを電気配線と比べ1/10 の0.1mmまで縮小し,実装面積で1/100に小型化できる。これにより光配線を用いたサーバボードは電気配線方式と比べ,ボード総体の消費電力が30%削減でき,現状のラック大のサーバ機器が1枚のボードレベルの大幅な小型化が期待されている。