月刊OPTRONICS 特集序文公開

III-V族薄膜を用いた変調・受光デバイス

1.はじめに

生成AI の登場により,学習用AI サーバーの規模が急拡大しており,学習に用いるGPU間のデータ転送量も急激に増加している。このため,GPUの電力の数割程度が外部とのデータ転送で消費されている。データ転送に必要な電力は増加傾向にあり,生成AI の性能向上のボトルネックとなりつつある。この課題を解決する方法として,GPU等の集積回路の周辺に光送受信チップレットを集積して信号入出力を光化するCo-packaged OpticsCPO)の研究が精力的に進められている。

CPU向けの光送受信チップレットとしては,集積性に優れたシリコンフォトニクスが有望である一方,光変調器や受光器においては動作帯域と消費電力はトレードオフの関係にあるため,CPOに求められる単位電力辺りの伝送帯域密度(約1 Tbps/mm/pJ/bit))の実現の妨げとなっている。この課題を解決するため,我々はシリコンプラットフォーム上にIII-V族半導体薄膜を異種材料集積した光デバイスの研究を進めている。III-V族半導体は直接遷移型半導体であることから光物性に優れる。加えて,電子の有効質量が軽く移動度が大きいことから,電気抵抗の大幅な削減も期待できる。このことから,III-V族半導体薄膜を用いた光変調器・受光器において,既存のシリコンフォトニクスの性能限界を突破することが可能となる。本論文では,これまで我々が研究を進めてきたIII-V族半導体薄膜を用いた光変調器,受光器の最近の成果について紹介する。

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