三菱ガス化学は,同社「QOLイノベーションセンター白河」(福島県白河市)内に,日産2.6トンの葉菜類生産設備を有する,国内最大規模の完全人工光型植物工場を建設し,工場野菜生産事業へ参入する(ニュースリリース)。
植物工場は,従来の畑地栽培やハウス栽培とは異なり,施設内で植物の生長に必要な光,温湿度,二酸化炭素濃度,水分,栄養分等の環境条件を制御しながら,植物を栽培する施設。
植物工場は,①土地面積当たり生産量が従来比100倍以上,②天候や土壌等の自然環境の影響を受けない,③栄養分等の投入資源の利用効率が高い,④水の使用量が従来比約半分,⑤無機肥料の使用量が少なく,環境汚染物質等の排水が少ない,等の特長がある。
植物工場には太陽光を使用するものもあるが,完全人工光型植物工場は,光源にLEDのみを使用するため,天候に左右されることなく,常に最適な生育環境をつくり出すことが可能。
同社は,植物工場として国内最大規模の設備を建設するとともに,化学品の製造プロセスで培った環境制御のノウハウを活用して効率的に運営することで,収益性を確保した,事業性のある植物工場を目指す。完全人工光型植物工場の事業化により,省資源で持続可能な農業を可能とし,植物工場産業の新たな事業展開につながることが期待される。
また,同社は,食品の洗浄に使用される過酸化水素や過酢酸製剤,食品を酸素劣化から守る脱酸素剤および各種機能性樹脂フィルム等,食品の安全・安心に関わるさまざまな製品・技術を有している。これらを工場野菜生産事業へ応用し,食品の品質を長期間,高く保持することで,競争力を向上させるとともに,フードロス削減等の貢献も期待されるとしている。
なお,この事業は,大規模完全人工光型植物工場の運営および生産品の販売に実績のあるファームシップと協業体制を敷き,推進していく。