大阪大学の研究グループは,センサーサイズ限界を超えた波長分解能を実現可能な,マルチチャンネル分光器における新規超波長分解能法の実証に世界で初めて成功した(ニュースリリース)。
マルチチャンネル分光器は,コンパクトかつリアルタイムに計測が可能な分光技術であるため,ライフサイエンス分野から天文学の分野に至る広い分野で盛んに活用されている。
これまで,センサーの製造技術や感度の制限から,イメージセンサーのセンサーサイズのダウンサイジングには限界があり(特に赤外領域で数十ミクロン程度),マルチチャンネル分光器のセンサーサイズ以下の波長の違いを識別することは困難であったため,波長分解能の向上を制限していた。
今回,研究グループは,ノギスに用いられる副尺と同じ考え方で時間領域の計測技術に用いられている等価サンプリング技術を空間領域に導入した。これにより,マルチチャンネル分光器のセンサーサイズ限界をハードウェア的な制限を克服し,波長分解能を10倍以上向上する新規超波長分解能法を市販の分光器において実証し,世界で初めてセンサーサイズ限界を超えた超波長分解に成功した。
この成果によって,非常に安価であるマルチチャンネル分光器を用いても,リアルタイム計測性だけでなく,10倍以上の分解能を持つマルチチャンネル分光器を利用することができることになる。また,高性能なマルチチャンネル分光器を駆使することで,世界最高性能の波長分解能を実現することも可能となるとしている。