新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトにおいて,三菱電機,東京工業大学,龍谷大学,マイクロ波化学は,出力電力500WのGaN(窒化ガリウム)増幅器モジュールを加熱源とする高効率な産業用マイクロ波加熱装置を共同開発した(ニュースリリース)。
GaN増幅器モジュールは,Si(シリコン)やGaAs(ガリウムひ素)を使用した増幅器モジュールに比べて高出力が得られるとともに,装置の小型化に貢献する。近年では通信・レーダー分野においてGaN増幅器モジュールへの置き換えが進められているほか,高効率という特長を活かして産業分野での新たな活用も期待されている。
今回のプロジェクトで研究グループは,国内製造業のエネルギー消費の3分の1(経済産業省調べ)を占める化学産業分野の省エネルギー化に着目し,産業用加熱装置で現在主流の化石燃料を加熱源とした外部加熱方式から,出力電力500WのGaN(窒化ガリウム)増幅器モジュールを加熱源とするマイクロ波内部加熱方式に置き換え可能な高効率な産業用マイクロ波加熱装置を新たに共同開発した。
マイクロ波内部加熱方式の採用で,試料を加熱する前に装置自体を加熱することを不要とし,産業用加熱装置のエネルギー消費70%低減。また,マイクロ波の波動の状態,位置を制御することにより温度分布を自在に制御し,化粧品やインク塗料などの化学物質生成時に局所的に内部加熱することで,生産効率性を3倍に向上する制御技術を開発した。
今後,マイクロ波加熱装置に適用するGaN増幅器モジュールの実用化を目指すとともに,GaN増幅器モジュールの普及・拡大に向けて,安全性・信頼性ガイドラインの策定や標準化に向けた仕様の検討を行なうとしている。