NEDOら,薄膜系太陽電池で世界最高の変換効率を達成

NEDOは,ソーラーフロンティアとの共同研究を通して,CIS系薄膜太陽電池のセルにおいて変換効率22.3%を達成した(ニュースリリース)。

今回達成した変換効率は,薄膜系太陽電池の世界記録である21.7%を0.6ポイント塗り替えるもの。

NEDOは,2030年までに太陽光発電の発電コストを7円/kWh(従来型火力発電並の発電コスト)にするという目標の達成を目指して,発電コスト低減技術の開発を進めている。太陽電池の変換効率向上は,太陽光発電における発電コストの低減に大きく寄与するため,世界中の企業,研究機関が取り組んでいる。

特に,薄膜系太陽電池は,省資源で生産性に優れ低コスト化できるという特長があり,さらなる変換効率向上が期待されている。

今回,NEDOの「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」プロジェクトとして,NEDOの共同研究先であるソーラーフロンティアが,太陽光を吸収するCIS光吸収層の表面部分の品質向上や太陽電池内部の境界面の形成技術の改良に取り組み,CIS系薄膜太陽電池の世界最高変換効率22.3%を達成(ドイツのフラウンホーファー研究機構で検証,確認)した。

この変換効率は,薄膜系太陽電池に比べて高性能と言われている多結晶シリコン系太陽電池においても未達成であり,これまでの薄膜系太陽電池の世界記録を大きく上回るもの。

作製したCIS系薄膜太陽電池のセル(約0.5cm2)に用いた製法は,ソーラーフロンティアの主力工場である国富工場(宮崎県国富町)で採用している技術と同じもので,量産にも適しているため,市販製品(90cm×120cm)への早期の応用が期待されるという。

ソーラーフロンティアは,このプロジェクトで得られた成果について,大面積での面内均一性と製造プロセス再現性の確認のための検証を行なった後,実用化する予定。

NEDOは,太陽光発電開発戦略(NEDO PV Challenges)で掲げる発電コスト目標(2030年7円/kWh)の実現に資する高性能と高信頼性を両立した太陽電池の開発を進めていく。

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