東工大,簡便な蛍光バイオセンサーを開発

東京工業大学は,二つの蛍光タンパク質と抗体断片を巧妙に用いた,汎用性の高いバイオセンサーの構築に成功した(ニュースリリース)。

抗体は,我々の体内でさまざまな外敵分子(抗原)を認識・結合し我々を守ってくれるタンパク質。しかしこれまで,試験管の中に入れた抗体が抗原に結合したかどうかを知ることは,手間暇をかけて実験するか,高価な測定機を用いて検出しない限り不可能だった。

研究チームは,この抗体断片に緑色蛍光タンパク質「GFP」の色が異なる二つの変異体を結合させ,血清アルブミン(SA)をその場で検出できるバイオセンサーを作ることに成功した。

これら二つの蛍光タンパク質(シアン蛍光タンパク質「CFP」と黄色蛍光タンパク質「YFP」)は,両者の間の距離が遠い時には水色(シアン)の蛍光を発するが,距離が短いと,蛍光共鳴エネルギー移動と呼ばれる機構により黄色の蛍光を発するようになる。

これらのタンパク質を抗体の抗原結合部位を形作る二つの断片のそれぞれに注意深く結合させることで,抗原であるSAの有無で顕著に蛍光色が変化することを見いだした。

このセンサーはタンパク質のみからできているにも関わらず,サンプルと混ぜて蛍光色を測るだけで診断に十分な感度でSAが検出できる。今後用いる抗体を変えることで様々なタンパク質の検出に応用できると考えられるという。

抗原タンパク質と混合し,蛍光を測定するだけでその定量が可能になる今回の技術は,検出に特殊な技術を要しないことから生物学や生物工学における基礎的な実験法としての利用のみならず,各種のタンパク質,例えば食品中のアレルゲンや体液中のバイオマーカーの迅速検出に大いに役立つとしている。

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