東大ら,巨大な小惑星衝突の痕跡を赤外線望遠鏡で発見

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(カブリIPMU),米国アリゾナ大学などの研究グループは,米国航空宇宙局(NASA)のスピッツァー宇宙望遠鏡  を用いた赤外線の継続的な観測から,若い恒星系を周回するダスト(塵)が爆発的に増大する様子をとらえた(ニュースリリース)。この現象は、岩石でできた2つの巨大な天体が激しく衝突して起きたと解釈できるもの。

研究グループは,「ほ座」内にある地球から約1200光年離れたNGC 2547星団内のID8と呼ばれる約3500万歳の若い恒星の赤外線観測を定期的に行なってきた。赤外線観測により,恒星系内のダストの温度や量がわかりるが,この観測中,突然ダストの量が劇的に増加したのを発見した。

この突然のダストの増加は,二つの巨大な小惑星が衝突したためだと考えられる。衝突によって細かな砂粒くらいの粒子が雲をつくり,その後粒子同士が衝突を繰り返してさらに細かくなり,ゆっくりと恒星から離れて行った様子もわかった。

大衝突の前後で観測データが得られたのは今回が初めて。地球のような岩石惑星は,長い年月の間にこのような衝突を繰り返して形成されると考えられており,研究グループは,地球のような岩石惑星が作られる際におこる劇的な現象を,初めてリアルタイムに観測したもので,その形成についての理解を深めるものだとしている。

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