日立,明るい場所でも見やすいプロジェクタの映像表示技術を開発

日立製作所は,高精細映像を毎秒60フレームでリアルタイム処理する映像処理技術を開発した。この技術は,表示する映像信号を人の視覚特性に基づいて分析し,映像を視認するために重要な成分を抽出・強調することにより,視認性を高めた映像表示を実現するもの。

1

これにより,プロジェクタの映像出力(光源の輝度)を上げることなく,外光が射し込むような環境でも,見やすい映像を表示することができる。また,さまざまな製品への搭載に向け,小型のハードウェアで高精細映像のリアルタイム処理も実現した。プロジェクタはもとより,車載モニタ,監視モニタなどの映像を見やすくすることも可能になるという。

従来,映像を見やすくする処理として,コントラスト補正,カラーマネージメントなどがあった。しかし,これらは画面全体に一様な補正を行なうため,もともと見やすかった部分が潰れて見えにくくなるなどの副作用があり,大きな補正効果を得ることが困難だった。

今回開発した技術は,画面内の場所ごとに映像の明るさや細かさなどを分析し,特性を変化させて局所的に映像を補正するため,副作用を抑制しながら大きな視認性向上効果が得られる。技術的な特長は以下の2点。

①人の視覚特性をモデル化したRetinex理論を応用し,映像中の視認性に影響する複数の光成分を分離し,映像の明るさ,細かさ,色合いなどの特徴に応じて強調した後,合成するアルゴリズム。

②上記①の過程で,ハードウェアが備える論理回路を効率よく利用できるよう処理順と内容を最適化することにより,小規模な論理回路で静止画だけでなく,高精細映像(1920×1200)のリアルタイム処理(毎秒60フレーム)を実現した。 また,上記処理を小型のハードウェア(17x17mm)で実現しているため,小型のプロジェクタ用など小さな基板への実装も容易。

日立のプロジェクタを開発・製造・販売している日立マクセルでは,この技術を搭載して視認性の向上を図った超短投写プロジェクタを開発し,米国・欧州より順次発売する予定。また,日立も車載モニタ,監視モニタをはじめとした見やすい映像表示ソリューションを提供していく。

詳しくはこちら。