東京モーターショーでオムロン オートモーティブエレクトロニクスは,赤外線センサーを用いた安全技術について,開発品を含めた展示を行なっている。
同社は赤外線LiDARと現代モービス製CMOSカメラを組み合わせた車載用前方監視センサー「LiCam(ライカム)」を開発したことを10月に発表しており,今回実機を展示している。
これは赤外線センサーを同社がこれまで製品化してきたメカニカルスキャン方式から,受光センサーを水平・垂直4分割した電子スキャン方式に変更したもので,カメラとの組み合わせにより4輪車両だけでなく,道路上の白線や道路交通標識,歩行者,自動車,バイク(自転車)などの対象物に対する高い認識性能を実現したもの。
2018年の出荷開始を目指して開発を進めているため詳細な数値については参考だとしているが,赤外線Lidarの検出距離は最悪条件において約30m,カメラは最良条件で約80mだとしている。検出角度はLidarが水平25度・垂直13度,カメラが水平45度・垂直35度となっている。
同社はこれまでのメカニカルスキャン方式から電子スキャン方式に変更することで,デバイスの信頼性を大きく高めると共に,低価格化も実現したい考えだ。この考えは次世代製品でも踏襲する方向性を示しており,今回,初となる展示として周囲の状況を赤外線センサーのみで立体的に捉える次世代センサーも見ることができる。
このセンサーは米Advanced Scientific Concepts社(ASC)製の「3D Flash LIDAR」を受光素子として用い,オムロンのレーザーと組み合わせたもの。レーザー光を光学系で広げて照射し,反射光をアレー状の受光素子で受けることで,駆動部品を用いずに周囲の3次元情報を得ることができる。なお,「3D Flash LIDAR」は日産も開発中の自動運転車に搭載していると言われている。
今回の展示品はアイセーフの出力で20m先までを140度の範囲でセンシングすることができ,これを前後左右に4つ搭載することで車の周囲360度をカバーする。同社では2020年に実用化されると言われる自動運転車への搭載を目指して開発を進めたいとしている。
また同社は「業界最高の検出精度」とする赤外線カメラを用いたドライバーの視線検出デバイスのデモも行なっている。これはドライバーの顔や視線の方向,開眼率をモニタリングする。また,視線を特定の方向に向けることで,カーオーディオの操作などもできる。