アマダ,2kWファイバレーザで軟鋼板厚25mmの切断を実現

アマダは,米国JDSUと共同で出力2 kWの新型ファイバレーザ発振器を開発,これを搭載したレーザ加工機を発表した。同社によると,海外市場向けに約30 台,国内市場向けに約8 台を受注し,出荷を開始しているという。

同社は2010 年に4 kWのファイバレーザ発振器の開発に成功し,これまでに100 台程度を販売したというが,今回開発した2 kWの加工機は4 kWの加工機に匹敵する加工性能を実現したもので,軟鋼板厚25 mmの切断を可能にする。

これは厚板切断に最適なビームプロファイルを作り出すことで実現した。薄板から厚板切断までに対応させるため,ビーム可変ユニットを搭載。これまで切断する材料の厚さに合わせてビームの形状を変更させるには,集光レンズを交換する作業が必要だったが,これを不要とした。


薄板加工向け(左)から厚板加工向け(右)にビーム形状が変化する

軟鋼板厚25mmの切断を実現

2.1kWファイバレーザモジュールとJDSU製の140W励起レーザ



ファイバレーザ発振器は出力2.1 kWの1 モジュールとし,コンバイナを不要とした。これにより,加工機本体にビルトイン化し搭載することが可能なサイズとしたのに加え,コストダウンにも成功。励起用レーザはJDSU製の140 W LDモジュール「STシリーズ」を採用している。

金属加工分野においてキロワット出力のファイバレーザは,CO2 レーザに比べて薄板の高速切断に優位性があり,概ね板厚3 mmを境にして加工適用領域はすみ分けられていた。

今回発表した2 kWファイバレーザ加工機はこの加工領域を取り払うもので,さらに2 kW出力での板厚25 mmの切断を可能にしたことは,省エネルギー効果が高いことを意味する。

同社は今後,2 kWファイバレーザ加工機を戦略製品の一つとして位置付け販売していく考え。また,JDSUと共同で,より板金加工に特化したファイバレーザ技術の開発を進め,溶接までを視野に入れた製品開発に取り組むとしている。◇