フランクリン財団は、ベンジャミン・フランクリンを記念して、科学・技術の啓発・普及を目的に1824 年創設された非営利学術財団(本部:米国フィラデルフィア)。フランクリン賞には1832 年からいくつかの名前を冠した賞があるが、これまでにアレクサンダー・グラハム・ベルや江崎玲於奈博士など、そうそうたる研究者たちがその賞をもらっている。現在はThe Bower Award(科学、経営の2部門)とBenjamin Franklin Medal(物理、化学、生命科学、工学、計算機・認知科学の5部門)の二つの名称の賞があり、最も伝統のある世界的学術賞と言われている。
伊賀博士に贈られたのはThe Bower Awardの科学部門で、授賞の理由は面発光レーザの発案と光エレクトロニクスへの広範な応用への研究だ(経営分野ではデルコンピュータ社長のミカエル・デル氏が受賞)。この賞は、これまでにノーベル賞受賞者(ポールC.ラウターバー博士)を含む著名な研究者が受賞しているが、日本人では金出武雄博士(カーネギーメロン大学)に次ぐ二人目、日本在住としては初の受賞となった。授賞式は4月25日にフィラデルフィアのフランクリン財団で行なわれ、その前後約1 週間にわたって授賞式や夕食会を含む様々なイベントが開催された。
今回、東京で行なわれた受賞記念祝賀会には200人を越す光エレクトロニクス分野を中心とした産学官の著名人が一堂に会し、その受賞を祝福した。 祝賀会は先ず東京工業大学精密工学研究所の佐藤誠所長の開会の辞で始まり、その後、蔵前工業会の庄山悦彦理事長の挨拶、末松安晴元東京工業大学学長と城西大学の小野元之理事の祝辞と続き、東京工業大学の三島良直学長が乾杯の音頭を取った。
会場の各テーブルでは、伊賀博士の業績を称えるとともに、その出会いや思い出などを語りあったり、はたまた別テーブルの方と旧交を温める方もいたりと、華やかな雰囲気の中、出席した方々は食事と祝杯と会話を大いに楽しんでいた。 折しも、この日の夜はサッカー日本代表が対オーストラリア戦でロスタイムにフリーキックを決め、2014年ブラジル大会出場を勝ち取った、そんな日でもあった。 (川尻多加志)