過日,知人が歌うということでヨハン・セバスティアン・バッハ(1685−1750)の「マタイ受難曲」を聞いてきました。気軽に聞くような曲ではありませんが約300年前に作曲されたと思うと感慨もひとしおです。そういえば,現在の平均律はバッハの時代からと思い出しながら聞き入っていました。
現在の西洋音楽の母体は9世紀頃から伝承されていたグレゴリオ聖歌だといわれます。当時は歌詞だけが記録されて旋律は記憶を基に歌われていました。旋律の記録は11世紀にイタリアの音楽教師グイード・ダレッツォ(991−1050)が“Ut-Re-Mi-Fa-Sol-La”の階名による記譜法を考案したことに始まるとされています(図1)。音楽の三要素は旋律(メロディ),和声(ハーモニー),拍子(リズム)ですが,旋律や和声に関わる音律(音程)は様々な人達がより心地よい音を追及している中で幾度かの変革を経て現在のような1オクターブを12等分した音律になっています。以下その概略を追ってみましょう。
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