最近とみにエネルギー問題,電力問題がクローズアップされています。特に冬の寒い時期には暖房などでの電力消費量も多くなります。又,政府は「カーボンニュートラルの実現に向けて洋上風力発電は再生可能エネルギーの切り札」と位置付けていました。今回は海に囲まれた日本の切り札とする洋上風力発電の状況を追ってみましょう。
風を動力源とした風車は紀元前のエジプトで灌漑用に利用されて以来,新たな動力が創られた産業革命が興るまでは広い地域で活用されてきました。そして産業革命以降も地道な開発が続けられていました。例えば,デンマークの物理学者ポール・ラクール(1846-1908)は1891年に実験用の発電装置を作り1903年には風力発電会社を創設しています。デンマークでは第二次世界大戦後の電力不足の時期にそれらの技術を地道に蓄積していたのです。
風力発電は,プロペラ型のローター部による回転力を発電機に伝え電気に変換します。設置は陸地か洋上の何れかになり,洋上の場合は水深60m程度までの海底に基礎を築く「着床式」と,更に深い場所で海底基礎を作らない「浮体式」があります(図1)。陸地では景観,騒音などの制約・課題があるのに対し,洋上ではそのような課題はありませんが設置工事やメンテナンスなどの課題が残ります。
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