音楽ファンにとって,正月のニューイヤーオペラコンサートなどは楽しみのひとつです。英国の音楽家ハワード・グッドール(1958 - )が著書『音楽史を変えた5つの発明』の中で,オペラを偉大な発明として取り上げています。今回はそんなオペラの発明たる世界を追ってみました。
16世紀末のイタリアのフィレンツェでオペラの起源ともなる動きがありました。当地の詩人や音楽家,画家,科学者などが集っていた“カメラータ”と称するサークルがあり,都市貴族のジョヴァンニ・デ・バルディ伯爵(1534 -1612)などもその活動を支援していました。そこでは当時の音楽の堕落を憂い,理想芸術の創造を語っている中で,文学と音楽を融合させた音楽形式を整えることで芸術性を高められるとの信念から,コーラスを背景に台詞を朗唱するギリシア劇を再現しようとしていたのです。
カメラータにはガリレオ・ガリレイ(1564 -1642)の父でありリュート奏者で作曲家のヴィンチェンツォ・ガリレイ(1520 -1591)がいました。残念ながら譜面は残っていませんが,そのガリレイが1582年にギリシア音楽を模してダンテ(1265 -1321)の『神曲』に基づく哀歌を作曲していたそうです。現存するものとしては,断片ながらも1597年にヤコポ・ペーリ(1561 -1633)が作曲した『ダフネ』が最も古い音楽劇として残されています。
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