今年の梅雨もそろそろ明ける時期になりますが,傘は梅雨の時期に限らず1年中欠かせません。そんな傘に,最近は高級なビニール傘が売られています。一般的にビニール傘(図1)と言うと安価なイメージが先行してしまいますが,雨中の選挙街頭演説や園遊会で使われるなどでも知られるしっかりした傘です。
そんなビニール傘を初めて作ったのは東京・台東区のホワイトローズ㈱でした。同社は武田勝頼の子孫と言われる甲斐の国の武田源勝政が,江戸に出て初代長五郎を名乗って1721(享保6)年に興した煙草商「武田長五郎商店」に始まります。4代目の時に,刻み煙草の湿気を防ぐ為に使っていた油紙を工夫して雨具を作り始めています。今で言うレインコートのような雨具が5代目の時代には徳川幕府御用達の雨具にもなっていたそうです。更に,番傘や人力車の雨除け用帆張りなども手掛け,明治期には和傘を作り始めます。歴代のアイデアマンが新たな展開を進めてきたように,9代目の前社長須藤三男氏が高級ビニール傘を考案しているのです。
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