雷様になってみたいと思う時がある。裸ん坊に虎のパンツを履いて,頭には取ってつけたような角だ。背中に背負った太鼓をひとたび叩けば,雷鳴轟き,稲妻が走り,下界では「くわばら,くわばら!」とか「へそ隠せ」などと叫びながら人々が右往左往するのだ。
ひとしきり暴れた後に一弓の虹でもかけて見せれば,先ほどまでは雷をあんなに恐れていた人たちが,「夕立のあとは爽やかでいいね」などと,感激してくれるだろう。
雷様は日本の神の序列の中では責任がある立場ではないから,気楽なものだ。ちょっと気が向いた時にひと暴れしてやれば良いのである。いつのことだったか,上野の博物館で見た俵屋宗達の「風神雷神屏風絵」に描かれていた雷神だって,なんと楽しそうな顔をしていたことか。
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