世の中には音を聞くと色が見える人がいるらしい。例えば,ドの音で赤が見え,レの音で緑が見える,などというものだ。それも,「なんだか色を感じる」なんていうものではなく,本当に色が見えるのだという。
これは共感覚と呼ばれているもので,音だけではなく,例えば特定の文字に対応した色が見えたりとか,においを感じると色が見えるとか,様々な例が報告されている。芸術家には共感覚を持つ人が多いらしい。
僕も少しは芸術家の才能がないものかと,目をつぶって愛用のウクレレの弦を弾いてみるのだが,ちっとも色は見えてこない。残念ながら僕には天才の感覚は備わっていないらしい。もっとも,大方の人は共感覚など持っている事はなく,音で色が見える人は希少なのだろう。
それにも関わらず,「ヨーヨーマのチェロの音色は素晴らしい」とか,「フジ子・ヘミングのピアノの音色は最高」とか,「音色」という言葉を普通に使っているのだ。色が見える訳でもないのに「音色」って何なんだろうと,今更ながら考えてしまうのである。
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