子供の頃,僕の家には樹脂でできた鉄腕アトムの貯金箱があった。頭の後ろに硬貨を入れる穴があって,首を外すと中の硬貨が取り出せるというものだ。当時,テレビで放送されていた鉄腕アトムは白黒だったはずなのに,記憶の中のアトムがフルカラーなのはその貯金箱の色合いが頭の中にインプットされていたせいかもしれない。
鉄腕アトムがテレビに登場したのは1963年だ。それから半世紀を経ているのにその存在感は抜群で,今でもロボットの代表としてアトムの名を挙げる人は多いはずだ。テレビ番組の鉄腕アトムを見て,僕はまず「科学の子アトム」そのものになりたいと憧れた。それが叶わぬことだと知り,だったら科学者になってアトムを作ろうと幼い夢が育まれたから,僕の人生にとってアトムは結構な影響力を持っていたのである。
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