強い陽射しの中を,眉間にしわを寄せて歩いている。日光を遮るものは全くなく,暑さで頭もぼうっとしてきた。こんな時には,「女神様が現れて快適にしてくれたらいいのに」などと,ありもしないことを願ってしまうのである。さて,そんな時に,もしも奇跡が起きて女神様が現れたとしよう。彼女は両手のそれぞれに「⇦左:日陰」「右:日影⇨」という道標を掲げている。「えーと,どっちに行けば良いのでしょう?」と聞いてみても,彼女は何も言わずに,ただ悪戯っぽい微笑を浮かべるばかりである。さて,どっちに行くべきか。日陰も日影も変わらなそうだから,どっちでも同じかもしれない。
いやいや,感覚的には日影の方が日陰よりも爽やそうな気もする。日影というと木漏れ日の清々しさを想像するけれども,日陰というとなんだか薄暗いジメジメした空間を想像してしまう。でも,どちらが涼しそうかといえば,日陰の方が…なんて迷っているうちに,女神様はぷいっと消えてしまい,結局は炎天下を歩き続けることになってしまうのである。こんな羽目にに陥らないためにも,陰と影の違いはしっかりと知っておいた方が良いのだ。
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