ドローンペイロード市場の主要企業としてはSZ DJI Technologies(中国),Lockheed Martin(米国),Elbit Systems(イスラエル),Northrop Grumman Corporation(米国),Thales Group(フランス),3D Robotics, Inc.(米国)などがある。
これら企業は北米を筆頭に世界中の様々な地域向けにドローンペイロードを提供している。
北米,欧州,アジア太平洋はドローンペイロードの主要市場で,合わせて全市場の85%を占めている。対テロ監視への需要の拡大,より経済的な監視ソリューションへの関心などが,これら地域におけるドローンペイロード市場の拡大を後押しする。例えば,アジア太平洋地域におけるドローンペイロード市場は2016年から2021年の間,年平均18.24%で拡大すると期待されている。中でも中国やインドなど新興国における市場はさらに急速に成長すると思われる。2016年時点で,アジア太平洋地域市場は世界市場全体の14.07%を占めている。
セグメント別に見ると,2016年の時点ではSIGINTが全体の13.30%を占めている。監視用途での利用の増加,潜在的脅威の特定における機能向上がSIGINTへの需要拡大を支えている。電子戦争(EW)はSIGINTに次ぐ12.46%のシェアを持っている。
エンドユーザーに基づく分類だと,2016年時点で防衛分野が市場全体の74.18%を占めると推定されている。この傾向は予測期間を通じて変わらない。防衛分野においてペイロードへの支出額が大きいことがこの原因となっている。防衛向けペイロードには洗練された技術が使われている。UAVが進化し,戦場で複数の役割を担うようになると,その複雑性はさらに高くなり,システムの価格はさらに高騰するだろう。
2. 市場環境
UAVは航空機,ジンバル,データ収集ペイロードで構成されている。UAVのペイロードには赤外線,熱感カメラ,高精度気圧計,多重スペクトルLiDAR,ハイパースペクトルセンサーなどが含まれる。利用用途,そこにおいて必要とされるミッションによって利用されるペイロードが決定される。ペイロードは振動を解消し,プラットフォームを安定させるジンバルに取り付けられる。
UAVによって収集される大量のデータには,オルソ変換,モザイク化,地形分析など,専用の処理が必要となる。商用分野におけるUAV利用の推進にともない,ペイロード設計の水準は既成の枠以上に押し上げられようとしている。センサーのデータ収集機能の向上だけでなく,演算処理能力の拡大も同時に進行中である。演算能力が向上すれば,ローカルにおけるデータ分析が可能となり,リアルタイムの意思決定ができるようになる。こういった可能性が高い処理容量を持つペイロードの開発をけん引している。加えて,政府による規制mあるいはその欠如がUAVの商用利用に大きく影響を与えると見られている。
日本,オーストラリア,カナダ,いくつかの欧州諸国において,ドローンの利用は法規制の対象となっている。一方米国やインドなどでは適切な規制の取りまとめの最中である。いったん規制がまとまれば様々な業界でドローンの開発や導入が拡大してゆくと期待されている。2016年6月に米国で発表された商用ドローンに関する規制によって,パイプライン監視,空撮などの応用の活性化が期待されている。米国Amazonは貨物輸送にドローンの利用を検討している。これに伴い,輸送用途で用いられるUAV向けペイロードの開発が促進されると見られている。