米国調査会社MarketsandMarkets社によると,ドローンペイロード市場は,2016年の36億3000万米ドルから,2021年までに77億2000万米ドルまで拡大すると見られている。市場は,2016年~2021年のCAGR(複合年間成長率)で,16.25%の成長が予測されている。
同社の調査結果をまとめた調査レポート「ドローンペイロードの世界市場2021年」の中から一部をご紹介したい。
1. 概要
規制緩和により商用利用が増加するにつれてドローンペイロードへの需要は押し上げられると考えられる。精密農業,公共安全,空撮,インフラ監視など,対象が広い範囲に散らばっているため,移動性と高品質データがともに必要とされるような用途にドローンは適している。今後,法制が整いそうした分野での応用が広がるにつれて,ドローンペイロードへの需要は拡大してゆくだろう。例えば大規模な投資計画,インフラ監視,農業などにおいて,通常業務にドローンを導入することが利便性の向上につながると期待されている。
ドローンペイロードには,EO/IR,カメラ,合成開口レーダー(SAR),シギント(SIGINT),電子情報(ELINT),通信情報(COMINT),洋上哨戒(MPA),レーザーセンサーなどが含まれる。必要とされるミッションによって,UAVにどのコンポーネントを搭載するかが選択される。ドローンペイロードは,情報収集・監視・偵察(ISR),国境警備以外にも,目標捕捉,戦闘損害評価,あるいは攻撃・防衛両面での広域監視など,様々な用途で採用が進んでいる。
ドローンペイロード市場の成長をけん引すると期待されている要素としては,センサー技術の進化,より経済的なソリューションへの関心などが挙げられる。UAVの商用導入が進むにつれて,ドローンペイロード市場の成長機会も多様化する。
世界のドローンペイロード市場は2016年から2021年にかけて年平均成長率16.25%で推移し,36億3859万ドルから77億2410万ドルに拡大すると予測されている。
成長抑制要因としは,ペイロードの設計上の制約,利用可能な帯域による制約などが挙げられる。また,ドローンの商用利用におけるセキュリティ,プライバシーに対する懸念も市場が成長する上での大きな課題のひとつとなるだろう。
ドローンペイロード市場はEO/IR,カメラ,開口合成レーダー(SAR),シギント(SIGINT),電子情報(ELINT),通信情報(COMINT),洋上哨戒(MPA),レーダーセンサー,化学・生物・放射性物質・核兵器(CBRN)センサーなど,いくつかのセグメントに分類される。
また,防衛と商用といった,エンドユーザーによる区分も存在する。防衛区分は,情報収集・監視・偵察(ISR),戦闘活動,戦闘損害評価,国土防衛などの用途別に分けられる。また,商用区分は,農業,地図・監視,映像製作,空撮,石油ガス探査,貨物輸送,野生生物の研究観察,気候・汚染監視などに分類される。
製品別だと飛行船向けが最も成長が早いセグメントで,予測期間中,年平均17.44%で拡大すると見られている。