5.1.1 ゲーム用入力デバイス
ゲーム用入力デバイスは,ジェスチャー,ポーズ,動作を認識し,ゲーム中で対応するアクションへ変換するというもので,過去5年間にわたって実際に利用されてきた。MicrosoftKinect,SonyPlayStationCamera,Wiiリモートなどがこの分野で用いられている商標の代表例である。
Kinectは水平なバーを小さなベースに取り付けたような形状で,ゲーム画面の下あるいは上に設置して利用される。カメラ,赤外線センサー,マイクを備えており,全身の3Dアクションのキャプチャ,顔認識,音声認識機能を実現する。
SonyによるPlayStationCameraは,動作の感知が可能で,Kinectと類似の機能を持つ。Wiiリモートも同じく動作を感知するが,2007年の発売当初はカメラではなく,動作を認識する加速度計を利用していた。
最新のゲーム入力機器はより洗練され,VR,ARを利用したゲームを視野に入れたものが多い。そうした最新デバイスでは,カメラと,赤外線,レーザー,超音波などのセンサーを組み合わせた,強力な3Dトラッキングアルゴリズムを用いている。この分野には数多くの新興企業が現れ,次世代の勝利者を目指した互いに切磋琢磨している。そうした企業の多くが開発者向けにSDKを提供していることが,消費者向け・モバイル製品の潜在的なアプリケーションの更なる多様化を促進している。
5.2 医療用応用
3Dイメージングは過去5年間で医療機器にも応用されるようになっている。この市場は今後も着実に成長すると予測されている。医療用応用は三次元データの生成,再生,二つの段階で課題を抱えている。まずはデータの生成については,2次元情報を計測するセンサーを複数回移動しないと三次元イメージの生成に必要な情報が取得できない。続いて,症例を示す特定の情報をより分けて医師にわかり易いようにスクリーンに再生するアルゴリズムが必要となる。
現時点では医療現場で利用されているのは主に二次元情報である。三次元情報の医療向け応用はいまだ揺籃期にあり,その利用は今後3年から5年で飛躍的に伸びるとTracticaでは予測している。医療用市場においては一般的に価格への弾性が低く,治療に有効とあらば対価が高くなっても構わないと考える傾向がある。この傾向により,3Dイメージング業界は全体として大きな恩恵を受けるとされている。医療用応用を通して,正確性向上に対する投資額が増加し,高額な単価設定で比較的早い時期で投資の回収が見込めるからである。