世界のレーザー市場規模は2016年に160億米ドルに

著者: admin
3.3 ファイバーレーザーの市場
表5 ファイバーレーザー市場($ MILLIONS)
表5 ファイバーレーザー市場($ MILLIONS)

アジア太平洋地域が最大の市場ではあるが,ファイバーレーザーではその他の地域との差はそれほど大きくない。欧州,北米地域は先端技術の初期採用者としての地位を守るだろう。

3.4 最終用途別分析
表6 アプリケーション別ファイバーレーザー市場($ MILLIONS)
表6 アプリケーション別ファイバーレーザー市場($ MILLIONS)

通信向けの利用が全用途に占める割合は2014年の11%から2020年までに12.8%まで拡大する。

ビッグデータやIoTの普及によって通信トラフィックは今後も増加すると見られている。また,データセンターの内部,あるいはデータセンター間の接続に光ファイバーが用いられることが市場拡大を後押しするだろう。

医療用途2014年の時点では通信用途とほぼ同じ市場規模であったが,2020年までに10.4%から9.8%にまでシェアが減少し,絶対額でも通信向市場に追い抜かれるだろう。

産業・自動車用途はファイバーレーザーの最大市場ではあるが,成長率はそれほど高くない。

一方,小売り向け用途は金額こそ小さいものの,その成長率は18.2%と非常に高いため,コアな技術を持つ企業にとっては,狙い目と言えるかもしれない。

4. 最後に

レーザー市場は非常に細分化されており,全体的な方向性を見て取ることは困難である。一方で,用途から見ると,3Dプリンティングなど魅力的な応用がどんどん生まれている。

内閣府総合科学技術・イノベーション会議による革新的研究開発推進(ImPACT)プログラムでは,光パラメトリック発振器で得られたパルスをニューロンに見立てる量子人工脳の開発プロジェクトが進められている。また,NASAではレーザー光推進で火星まで行くという,まるでSFのような研究が進行中だという。このように,レーザーは今後も技術革新と寄り添い進化していくだろう。

ツネオカ リエ

株式会社グローバルインフォメーション
マーケティング部 部長

(月刊OPTRONICS 2016年4月号掲載)

このレポートは,㈱グローバルインフォメーションが扱う各国の市場調査会社の報告書をもとに執筆したものです。豊富な資料を揃えていますので,より詳細なデータや関連データだけでなく,その他にもお探しのデータがある場合,同社までお問い合わせください。
TEL: 044-952-0102
https://www.gii.co.jp/

関連記事

  • ドローンペイロード市場</br> 2021年までに77億2000万米ドルまで拡大

    ドローンペイロード市場
    2021年までに77億2000万米ドルまで拡大

    このレポートではドローンペイロードのセグメント別の市場分析,競合情勢,主要企業などについて,体系的な情報を提供している。 レポートの概要目次は次の通りである。 第1章 イントロダクション 第2章 調査手法 第3章 エグゼ […]

    2017.02.10
  • 3Dイメージングハードウェア・ソフトウェア市場</br> 2024年には249億米ドルへ

    3Dイメージングハードウェア・ソフトウェア市場
    2024年には249億米ドルへ

    7. おわりに 3Dイメージング技術は市場における地位を確立しようとしている。Tracticaは多くのアプリケーションにおいてが今後3年から5年で商用化の目途がたつと予測している。今後もセンサーとして市場をけん引するのは […]

    2017.02.03
  • プロセス用分光器市場規模</br> 2020年に15億米ドルに

    プロセス用分光器市場規模
    2020年に15億米ドルに

    4.2 テラヘルツ分光法 テラヘルツ分光法はポリマー,半導体,セラミクス,ガラス,有機分子,導電性フィルム,液晶,複合材などの非破壊試験やその他の分析に使われてきた。手らヘルツ分光法はまた生体組織にも用いることができる。 […]

    2017.01.19
  • 垂直共振器面発光型レーザーの</br>世界市場規模2020年に21億米ドルへ

    垂直共振器面発光型レーザーの
    世界市場規模2020年に21億米ドルへ

    4.2.2 市場機会 多用な応用先 様々な新興市場でVCSELの導入が進んでいる。ディスプレイ向けでは,4K,Retinaといった高解像度の実現,3D動画,高速フレームレート,次世代モバイルデバイス向けには3Dセンシング […]

    2017.01.19
  • 赤外光検出器および画像化システム市場</br> 2020年には71億8400万ドルの規模に

    赤外光検出器および画像化システム市場
    2020年には71億8400万ドルの規模に

    6. 結論 赤外光検出器,画像化システムの軍事向け応用における課題と将来的な発展は以下の通りである。 ・広く普及している旧世代技術と互換性の確保 ・武装化敵対勢力への適切な対処,減損数の縮小を目的とする長距離化対応 ・軍 […]

    2016.12.19
  • 世界の光コヒーレンストモグラフィー市場</br> 2019年に12億米ドルへ

    世界の光コヒーレンストモグラフィー市場
    2019年に12億米ドルへ

    5. 世界市場 5.1 種類別 OCT市場はFD-OCT(フーリエ領域OCT)によってけん引されてきた。2013年の時点でFD-OCTの市場規模は6億2820米ドル,OCT市場の86.9%を占めていた。 同時点の種類別シ […]

    2016.12.19
  • 量子カスケードレーザー市場</br> 2020年には5億6700万ドルに

    量子カスケードレーザー市場
    2020年には5億6700万ドルに

    6. 市場予測 ここでは,既存,新興のアプリケーションを対象に,量子カスケードレーザーの市場を定量化してみたい。Tematysでは,カスケードレーザーを利用する側の製造業者に対して,QCL製品への切り替え状況,利用率に関 […]

    2016.11.11
  • ADASから自動運転へ:</br> ADAS用光学センサー市場2020年に100億ドルに

    ADASから自動運転へ:
    ADAS用光学センサー市場2020年に100億ドルに

    10. 文化的背景 図5は自動運転に対する関心と信頼を各国で調査した結果である。関心に関しては,どの国でもほぼ同様の傾向で,55~75%が自動運転技術に興味があると答えている。一方で,自動運転技術への信頼に関してはインド […]

    2016.11.11
  • 世界の中赤外線レーザーの市場,2019年には</br> 7億4,260万ドルと予測

    世界の中赤外線レーザーの市場,2019年には
    7億4,260万ドルと予測

    5. 世界の用途別中赤外線レーザー市場 中赤外線レーザー市場は用途によって,非侵襲医療診断,自由空間通信,レーザーメス,分光分析,リモートセンシングの5つに分類される。その中では,分光分析の市場が大きく,2019年には2 […]

    2016.10.28
  • オプトキャリア