3. レーザー世界市場
3.1 世界市場概要
今後5年間のレーザー世界市場においてアジア太平洋地域が首位の座を保ち続けると予測される。堅調な経済がレーザー売り上げに好影響を与える一方で,もともとの需要の高さもあり,2015年から2020年まで年平均7.2%で拡大を続けるだろう。
レーザーがそのままエンドユーザーに販売されるケースは極めて稀である。プリンター,顕微鏡といった製品の一部として,あるいは,用途別に調整し付加価値を与えて,エンドユーザーの手に渡ることが一般的である。
こうした工程を担うOEMやODMといった受託製造業者はアジア地域に多く,同地域の市場拡大に貢献していると見られる。
出荷台数でみてもアジア太平洋地域が最大の市場となる。2014年から2020年にかけて出荷台数がほぼ2倍近くに増加すると見られている。
平均販売単価のトレンドは出荷台数とは反比例している。当然のことながら,出荷台数が増加するにつれて,販売単価は下降してゆく。他の地域の平均単価の下落率は10%未満となるが,アジア太平洋地域では4.75米ドルから4.01米ドル,実に24%の下落が予測されている。
しかしながら,出荷台数の大きな増加が,単価の下落を上回り,アジア太平洋地域のレーザー市場規模は,2020年に72億3600万米ドルに達するだろう。
3.2 レーザータイプ別市場概要
市場の大部分を占めるダイオードレーザーは2015年に54.7%,2020年に53.5%と微減する一方で,炭酸ガスレーザーは13%から12.4%,固体レーザーは17.4%から16.5%と微減するが,エキシマレーザー,色素レーザー,その他気体レーザーの市場シェアは0.1%程度の範囲で推移する。
ファイバーレーザーが2015年の8.2%から2020年には11%と躍進する以外,ほぼすべてのレーザータイプでシェアの縮小が起こっている。
今後,ファイバーレーザーは市場の花形になってゆく。産業向けでは固体レーザーを追い抜き,炭酸レーザー,ダイオードレーザーに継ぐ位置を占めると予測されている。市場拡大の最大の要因は,下落する価格にも拘らず一定以上の性能が保証されていることにある。
ダイオードレーザーは2015年に54.7%,2020年に53.5%と市場シェアは微減するものの,依然として市場の大部分を占め,金額的にも他のレーザータイプを大きく引き離している。消費者向け電子機器の着実な成長,特に新興国での大幅な伸びが,ダイオードレーザー市場をけん引する。