収差6—ディストーションと色収差—

4.3.6 歪曲収差

Seidelの基本収差の最後は歪曲収差(ディストーション)である。歪曲収差は1点1点が理想的に結像しても全体としては像が歪む収差である。像面湾曲が画面内における近軸フォーカス位置の差であるのに対し,歪曲収差は光軸に直交する方向での位置のずれである。スマホ撮影の時,周辺より中心にいる方が痩せて映るのは歪曲による画像の歪みである。今日のように画像処理が発達した時代では歪曲収差のソフト補正も盛んに行われる。

歪曲収差は像面と同じように主光線だけの挙動でプロットされるので,絞りを径を小さくしても改善することができない。

カメラなどの通常の画像撮影での理想像高は物体と相似の像が得られる中心射影と呼ばれる関係で

式(39) (39)

で定義される。θはレンズへの入射角である。有限距離にある高さy0の物体で倍率がβであれば,理想像高は

式(40) (40)

である。

歪曲収差の値は理想像高をyk′とし,実際に主光線が到達する座標をyk′とすると次の式で与えられる。単位は%で表示される。

式(41) (41)

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