像形成の物理光学5 —パターンとの相関—


3.7 結像パターンの特性

結像理論では光学系の設定が像に与える影響をコントラストやILSといった指標をもとに分析してきた。光学系とともに重要なのが結像パターン自体の特性である。コンピュータ技術の発達で今では複雑な画像を設計段階からsimulationでチェックでききるようになった。本章では物体であるパターンが持つ性質が光学系とどう結びつくかについて解析する。

3.7.1 Missing order

前節までコントラストを計算するパターンとしては1次元の1:1グレーティングを考えてきた。通常でも解像性能の記述でL&S(Lines and Spaces)というと1:1であることを暗黙に示している。

光学系を通過する回折光の数が結像に大きな影響を持つことはこれまで説明してきた。実は1:1のパターンは他の構成のパターンとかなり異なる回折光分布を持っている。その一つがmissing orderという現象である1)

図43 周期的グレーティングパターン
図43 周期的グレーティングパターン

パターンとピッチの関係を考えるため,図43に示す最も単純な構成のline幅a,ピッチb,space b–aを持つN本スリットの回折を考える。

スリットの透過関数t(x)は窓関数となる幅aのrect関数w(x)と,スリット関数となるピッチbを持つN個のδ関数の和s(x)のconvolutionとして表現される。

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