2.7 FナンバーとNA
焦点距離と入射瞳が決まると光学系を通過する光束の状態が分かり,軸上での明るさや解像性能の指標となるFナンバー(F#)が定義できる。F#はカメラの交換レンズで焦点距離に併記される重要性能である。F#はレンズの標準配置で物体距離無限遠,絞りの径最大で計算する。図32のように軸上光束の径をD,焦点距離をfとした時,F#は
で示される。F#はレンズで集光できる能力を表わし,値が小さいほど径の大きい明るいレンズとなる。
物体が有限距離の時は結像位置が焦点位置からずれ,図33のように像面での結像光束の角度が変化し,実効的にF#が大きくなる。結像倍率を│β│=1/mとした時のF#は有効F#と言われ次の式で表わされる。
顕微鏡対物レンズではNA(numerical aperture)がF#の代わりに用いられる。対物レンズは有限距離で用いるか,無限遠補正で用いるかが予め決められている。結像状態における像面での軸上光束の角度θ′と屈折率nを用いると
となる。無限遠補正の対物レンズなら有効F#はF#と等しくなる。NAはF#の逆数なので,値が大きいほど集光角が大きく,解像性能が高くなる。
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