2.5.4 近軸追跡
近軸追跡は光学系を数値的に扱う基本である。この計算法さえ覚えておけば,レンズの基本的な量は殆ど計算できる。
まずレンズデータを作る。例として接合レンズもあるTessar型と呼ばれるf50 mm/F2.8のレンズを使用する1)。レンズ形状は図24に示す断面で第5面が絞りになっており,光軸がz軸である。
絞りも含め面は8面で構成され,表2のような形式で表現される。光は左から右方向にレンズに入射する。
Rは曲率半径で対象面の光軸上の位置より球の中心が右にあれば+,左なら–となる。平面で曲率半径∞,また第5面のような絞りには0と入力する。dは光軸上でのガラス厚またはレンズ間隔を示す。ミラー反射で光が右方向に行く時は距離に–を付けて入力する。
市販の設計ソフトならガラスはカタログ名で入力できる。表2右はオハラのガラス名で,別途入力する波長に応じ屈折率を計算してくれる。屈折率で入力する場合は空気を1とし硝材カタログから設定波長での値を入れる。表2ではd線(587.6 nm)の値を入力した。カタログにある屈折率は空気に対する相対屈折率だからである。光が反射して右から左に行く場合はソフトにより入力法が異なるが,表2右のような屈折率入力の場合は–を付け–1や–1.51680などと表記する。有効径を入力しておくと大きさの目安が付く。なお,有効径は英語でClear Aperture(CA)という。
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