鴫原正義
気候が暑くなってくると冷たい飲み物を飲む機会が増えますが,家庭でのビールは缶ビール,屋外での自動販売機でも多くの飲料はアルミやスチールの缶容器に詰まっています。今回は,このような缶の蓋を開ける方式であるイージーオープン缶(EOE:Easy Open End)に関する話題です。この方式では更に,缶ビールなどのように蓋の一部を開けるPOE(Partial Open End:写真1)と,一部の缶詰に見られる蓋の全面を外してしまうFull Open End(FOE)に分けられます。
そもそもの缶詰の着眼は食の保存であり,その起源をたどると19世紀のフランス革命の時期に行き着きます。ナポレオン・ボナパルト(1769~1821)が食料の保存と供給に関する懸賞募集をしています。1804年に応募したパリの菓子職人ニコラ・アッペール(1749~1841)は更に研究と実験を重ね,加熱滅菌した食品をコルクで密閉した瓶に保存する手法を1809年に完成し12,000フランの賞金を獲得しています。
そして,ほぼ同時期の英国で金属による缶詰が発明されました。ロンドンの商人ピーター・デュラン(1766~1822)が1810年に錆防止の錫を被ったブリキ缶に半田付けした缶詰を発明し,その特許をドンキン・ホール&ギャンブル社に売却しています。そして,2年後には陸海軍で採用され,その後は特に多くの米国人によって生産性や信頼性の改善が図られ市場が拡大していくのです。
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