どんなレーザーが,どのようなところで活躍しているのか?

【本連載執を筆者された黒澤宏氏は2019年4月15日に逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。】

それでは,レーザーがどのように使われているのかを,ざっと見てみましょう。

レーザーは,その光の特徴である①直進性(指向性),②高エネルギー密度,③可干渉性(コヒーレント)を利用しています。


図1 レーザー光は直進します
図1 レーザー光は直進します

図1のように,レーザー光は真っ直ぐに進みます。この直進性は,精度の高い位置を割り出すレベル出し(水平面)目的の測量計に使用できます。高層ビル建設,高速道路建設,レールの敷設,トンネル工事などに利用されています。

また,パルスレーザーを使って,距離を測るのにも使われています。人類が初めて,月面上に降り立ったアポロ11号が,月面上に46 cm×46 cmの大きさの反射鏡を置いてきました。地球からその鏡に向けてレーザーを照射し,帰ってくるまでの時間を測って,地球と月の間の距離を測っています。38万キロも離れた月までの距離を1 cmの精度で測っているのです。

レーザーがもっとも身近になったのは,小型の半導体レーザーが発明されて以来です。普及しているCDやDVDの再生装置に使われています。赤色レーザー光を使って,わずかな凹凸の有無を検出し,音や映像に変えているのです。青色のレーザー光は,赤色に比べると,より小さな領域に絞ることができますので,青色半導体レーザーを使うと,通常のDVDより高密度の情報を読み取ることが可能になります。これがブルーレイディスクです。

また,スーパーマーケットなどに行くと,レジのところでバーコードを自動的に読み取っている装置があります。商品に付いているバーコードを,ガラス面の上を撫でるようにすると,瞬時にしてバーコードの記号を読み取ります。ガラス面から覗いてみてください。赤い線が何本も走っているのが見えます。最近は,緑色のものも使われています。


図2 レーザーレーダーで大気汚染をモニター
図2 レーザーレーダーで大気汚染をモニター

図2のように,高い空にレーザー光を照射して,空中にある汚染物質の濃度を測ったり,自動車運転中に人や障害物を検知したりして,危険を知らせることにも応用されています。


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