近大ら,安心・安全な医療機器を目指したハイドロキシアパタイトナノ粒子を開発

近畿大学の研究グループは,ソフセラ(東京都新宿区)と共同で,独自の技術でフッ化物イオンをハイドロキシアパタイトに導入し,ナノ粒子化することで,細菌や炎症に強い新素材を開発した(プレスリリース)。この技術の応用により,カテーテルなどの医療機器や歯磨き粉など,様々な製品への応用が期待される。

研究グループは独自の技術により,フッ化物イオンを導入したハイドロキシアパタイトのナノ粒子を開発した。このナノ粒子には大腸菌を死滅させる性質があることを発見,抗菌性を有することがわかった。一般に強い抗菌性を持つ銀イオンに比べ,フッ化物イオンの抗菌力は非常に微弱であることから,生体の健全な組織に対し,悪影響を与えることなく使用できることが期待される。

また,このハイドロキシアパタイト粒子は小さな結晶の状態でバラバラになっているため,化学結合を用いることでカテーテルなど医療機器の表面にナノメートルの次元の厚さでコーティングすることができる。さらに,酸性の環境にも強いことも確認されたため,生体における炎症部分などでも安定しやすいことが分かった。

今後はソフセラにてフッ素含有アパタイトナノ粒子の製造を開始し,事業化を進める。試薬および原材料として販売した後に,医療機器の充填剤やコーティング材へと用途を広げる予定。