芝浦工業大学・教授の新熊亮一氏を中心とする研究チームは、慶應義塾大学・准教授の吉岡健太郎氏らと提案した研究開発課題「四位一体レーザーによる面的能動空間の創出」が、科学技術振興機構(JST)の研究プログラム「CRONOS」に採択されたと発表した(ニュースリリース)。

(図)「四位一体レーザー」による面的能動空間の構想
1つのレーザー光源に検知、通信、給電、描画の4機能を持たせ、工場や都市空間で利用できる新たな光インフラの構築を目指す。研究期間は2026年10月から2032年3月までで、研究費は最大1億7,400万円を予定している。
工場などでは、自動搬送車やロボットの位置を把握するセンシング、制御情報を送る通信、バッテリーへの給電、作業者への危険表示など、それぞれの目的に応じた設備が必要となる。今回の研究では、これらを個別の装置で担うのではなく、単一のレーザー光源を時間的に切り替えて利用する「四位一体レーザー」の実現を目指す。
構想では、レーザーをセンシングに利用して移動体などを検知するほか、情報通信、光によるエネルギー供給、床面などへの情報表示にも使い分ける。1つの光源をマイクロ秒単位で切り替えることで、複数の機能を共通のレーザーノードから提供することを想定している。研究が進めば、設備の集約や、自動搬送車などの充電停止時間の低減、安全性向上などにつながる可能性がある。
一方、1つのレーザーに複数の役割を持たせるためには、光源の発熱や利用時間、対象の位置などを考慮しながら、どの機能をどのタイミングで割り当てるかを制御する必要がある。研究チームは500ノード規模の空間を想定し、量子クラウドによる最適化とエッジ側でのリアルタイム制御を組み合わせることで、面的な空間制御の実現を目指すとしている。
今回採択された「CRONOS」は、JSTが進める「情報通信科学・イノベーション基盤創出」の研究プログラム。情報通信や情報処理に加え、センシング、最適化、制御、電波、光、量子など幅広い技術を対象とし、異なる分野や技術階層を組み合わせた次世代情報通信基盤の創出を目指している。今回の課題は、主に情報通信分野を対象とする「中尾領域」の「サイバーインフラ・アーキテクチャの革新」に採択された。
研究チームは今後、製造現場などを想定して技術検証を進める予定で、将来的には工場だけでなく、工業都市などへの展開も視野に入れている。レーザーを個別の加工・計測装置としてではなく、センシング、通信、エネルギー伝送、表示を担う共通インフラとして利用しようとする点が、光技術の新たな応用として注目される。





