島津製作所は,紫外可視分光光度計(UV)の発売を国内外で開始した。製品名は「UV-1900i Plus」「UV-2600i Plus」「UV-2700i Plus」の3種類(ニュースリリース)。
価格は「UV-1900i Plus」が231万円~,「UV-2600i Plus」が314万円~,「UV-2700i Plus」が363万円~(いずれも税込)。同社製品「UV-i Selection」の後継機である3機種は,様々なユーザー支援機能による高い操作性や,充実した規制対応機能などを備えているという。
紫外可視分光光度計は,可視光や紫外線が物質を通過すると光エネルギーの一部が失われる現象(光エネルギーの吸収)を利用して,物質の化学構造や試料に含まれる成分の濃度を調べる分析装置。大学や化学,製薬企業など様々な分野で使用されてきたが,操作に習熟したユーザーの減少に伴い,「より手軽に信頼できるデータを取得したい」という要望が高まっているという。
今回発売された新製品群には大きく3つの特長がある。
一つ目は,高感度測定が可能になった点。ハードウェアの改良により,検出する波長を正しく再現できる波長繰り返し精度のほかノイズレベルなどの性能が向上した。「UV-2600i Plus/2700i Plus」では波長繰り返し精度が2.5倍,「UV-1900i Plus」ではノイズレベルが25%向上した。微量な物質でもより感度良く検出して,正確な分析データを提供する。
二つ目は,様々なユーザー支援機能が搭載された点。同社製のUVとして初めて,自動で装置をスリープ・起動可能なシャットダウン・ウェイクアップ機能,および確認ウインドウの表示で誤操作を防止するアシスト機能が搭載された。また,「UV-1900i Plus」は,装置起動時に自動で性能確認を行なう「スタートアップバリデーション機能」も備えている。それによって装置知識や経験の浅いユーザーでも安定的なデータ取得が可能になったという。
三つ目は,ソフトウェア上の定量解析機能が強化された点。従来機種から搭載されていた,事前に登録した条件により自動で合否を判定する機能(スペクトル評価機能)について,試料中の各成分の含有量を測定(定量分析)して規定値内かどうかの判定を行なえるよう機能が拡張された。
また,試料の色を数値化する尺度(ハーゼン単位色数)の計算が可能になった。さらに,これらの解析結果の改ざんを防止するため,データインテグリティ(データの完全性)に関する規制にも対応しているという。それによって,化学や製薬分野の原材料検査で用いられる定量や色評価を安心して実施することが可能となったとしている。