パナソニックコネクトは,現場で動く対象物を光沢などのノイズがあっても高精度かつ1ミリ秒以下でカメラで検出することで物流や製造現場のロボットによる作業を止めずに高効率化するセンシング技術を開発した(ニュースリリース)。
指定対象物の検出では,照明の影響により,対象物の表面に光沢などのノイズが生じ,指定対象物を検出できないといった問題が発生したとき,照明の環境を整えたり,AIなどの高度な画像処理を行ない,光沢の抑制を行なうなどの方法がある。しかし,照明環境の場合にはコストが増加し,またAIなどの高度な画像処理を使用する場合には処理時間が厖大になるといった課題がある。
また,AIなどの高度な画像処理を利用し,時間をかけて光沢の抑制を行なったとしても,動いている特定対象物の場合には,計算時間中に対象物が移動してしまい,撮影時とロボット動作時で対象物の位置が異なってしまい,必要な処理ができないといった結果になりがちとなっている。
これらの課題を解決するため,同社では光沢の影響がある環境でも,超低遅延で光沢検出を行ない,リアルタイムでロボットの次の動作に反映できるセンシング技術を開発した。
同社は,FPGAを活用して,カメラから転送されるピクセル単位の画像データの転送速度に同期し,画像データの一部を使用して光沢検出する特殊なアルゴリズムを活用する。それにより,順に転送されてきた画像データを即時に画像処理するため,データを保存するためのメモリが不要となり,低遅延な情報提供によって高速なロボット制御を可能とする。
この開発に当たり,毎秒1,000枚の画像データを撮影する高速カメラを使って実現したことにより,全ての処理が1ミリ秒以下で行なえるという画期的な性能を達成した。
この技術では,一般的なカメラと比べて,高速カメラではフレーム間の情報変化が非常に小さい点に着目。高速カメラは,動く対象物であっても,フレーム間の情報変化が小さいめ,ひとつ前のフレームで処理した結果を活用することが可能となる。
カメラから転送される画像データの速度に同期して,順に転送されてきた画像データを即時処理しつつ,高速カメラの特長を生かして,前フレームでの情報を活用するハイブリッドなアルゴリズムで1ミリ秒以下で正確な検出を高速処理で実現する。
同社は,事業領域として注力しているサプライチェーンの領域,製造,物流,流通のあらゆる現場において自動化の効率向上に貢献できる技術だとしている。