芝浦工大ら,サブテラヘルツ波でコンクリートを透視

鉄筋コンクリート造・鉄骨造建造物の調査を行なうコンステック,芝浦工業大学,東北大学は,サブテラヘルツ波の特性を利用してコンクリート中の鉄筋の状態を評価する技術を開発した(ニュースリリース)。

住宅・建築物を長期に健全な状態で活用し、維持管理コストを低減するためには、劣化が顕在化する前に対策を行なう予防保全による維持保全が求められているが,従来の目視や打診を中心とした調査は,劣化が顕在化する以前の情報を把握することはできなかった。

この開発では,7.5~20GHz程度の比較的低周波のサブテラヘルツ波による評価を用なった。サブテラヘルツ波をコンクリート表面から入射し,コンクリートおよび鉄筋からの反射波の強度によって,鉄筋位置や腐食度を評価することで,かぶり厚さ50mm程度までの鉄筋を評価することが可能だという。

かぶり10mmにおける鉄筋腐食度評価では,鉄筋の腐食により反射強度が小さくなる特性を利用し,鉄筋位置とコンクリート位置の反射強度の差分値と鉄筋の質量減少率の関係をあらかじめ求めておき,鉄筋の腐食度を非破壊・非接触的に評価する。

また,実構造物に適用可能な可搬型の測定装置(近接評価用・遠隔評価用)を構築した。この装置では,装置の可搬性,セッティングに要する時間,腐食度評価の可能性,ポータブル電源による電源の安定供給等を確認した。

実構造物への適用を考え,開発した装置によるコンクリート中の鉄筋腐食度の測定・評価フローを検討した。電磁波レーダ装置を併用する場合と,サブテラヘルツ装置のみで鉄筋位置情報を取得する場合に分け測定することにより,サブテラヘルツ波の情報から,鉄筋腐食の有無の判断,腐食開始初期における鉄筋の質量減少率の推定が可能となるとする。

現在は,実構造物で得たデータが少ない状態だが,研究グループは今後,サブテラヘルツ技術を用いた実構造物での測定を想定した実験を行ない,予防保全,長寿命化に有用な測定技術として確立するための取組みを行なうとしている。

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