古河電工,2030年に向けた事業戦略を発表-産業用レーザーと光通信製品を重要視

古河電気工業は「自動車部品事業部門」,「エネルギーインフラ統括部門」,「情報通信ソリューション統括部門」,「機能製品統括部門」の4つの部門における2030年に向けた事業戦略を報道向けに発表した。

このうち,光・レーザーに関わる部門としては自動車部品事業部門と情報通信ソリューション統括部門となるが,まず自動車部品事業では車載用光通信とレーザー溶接に触れ,情報通信ソリューション事業ではテレコム・データセンター向けなどの光ファイバ・ケーブル,産業用レーザーの見通しについて,それぞれ示した。

■xEV化対応にレーザー加工プロセスを提案

自動車分野ではカーボンニュートラル実現の推進と安全・安心のモビリティ社会の実現に対する意識の高まりを受け,車両の軽量化,燃費改善に伴う大電流・高電圧化に対応する部品開発の流れにある。これらはxEV化の車両システムの変化によるもので,例えば,これまでのエンジンシステムが電動モーターシステムに,燃料システムは電池や水素タンクへと移り変わっていく。

同社では,EVによって変わる部品に対して,加工の面ではレーザー溶接技術の重要度が増すものと見ており,特にボルト・ナットを必要としてた部品に対してレーザーは効果的だとし,結果として自動車部品の小型・軽量化につながるとしている。

先のレーザー溶接への対応においては,産業用レーザーの製品強化を進めている。主管としているのが情報通信ソリューション統括部門だが,自動車の電動化では銅材の加工が増えていくことから加工用青色半導体レーザーとそのプロセス開発を強化している。

同社はまた青色レーザーと赤外レーザーを組合わせたハイブリッドレーザーの開発も進めており,日亜化学工業と協業し,これらレーザーの高出力化開発を強力に推し進めている。実際,このほど,5kW出力の青色半導体レーザーを発表している。

昨年11月には,自動車産業が集積する中部地区にレーザーアプリケーションラボ「CALL」を設置し,サンプル加工などユーザーに対するレーザーソリューションを展開してきた。今回の発表では,2024年下期にも新たなラボを開設すると明らかにし,場所は刈谷地区を予定しているという。

■米国BABA認定の優位性を活かし,光通信製品を拡販へ

同社が手掛けている車載用通信に関しても,10Gb/sを越える大容量通信はもとより,軽量化の観点から従来のワイヤーハーネスから光ハーネスへと切り替わっていくと予測。そのための製品化を進めている。

テレコム・データセンター向け光ファイバ・ケーブルでは,米国政府が製造業の国内回帰や雇用創出を図る目的で定めたBABA(ビルドアメリカ・バイアメリカ)認定の優位性を活かし,BEAD(Broadband Equity, Access and Deployment)プログラムに対応した光ファイバ・ケーブルの拡販を進め,2030年の売上規模を2023年比で倍増させるとしている。

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