【注目製品】コスト減を目指す車載用遠赤外線ナイトビジョン

Valeoの通常の可視光カメラ(下左)とナイトビジョンカメラ(下右)の比較
可視光ライトではハレーションを起こしているがナイトビジョンカメラは鮮明に像が見える
TDKのイメージセンサとその構造

昨今,人間の体温など温度分布を映像化できる遠赤外線イメージセンサーの進化とその応用が注目されている。今回,人と車のテクノロジー展2024(5月22日~24日 パシフィコ横浜)で,遠赤外線のナイトビジョンカメラを取材した。

米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は4月29日,2029年9月までに,米国で販売されるほぼ全ての新型乗用車とトラックに,衝突被害軽減ブレーキ(ABT)の搭載を義務付ける方針を発表している。このことから,衝突回避技術システムの需要が今後ますます増えてくる。

そのため,夜間の障害物検知にナイトビジョンカメラが注目されているが,ナイトビジョンカメラは高価だという欠点があり,これを改善しようとする動きがある。

仏Valeoは,世界で最小かつ最も高感度な自動車グレードのサーマルカメラであるナイトビジョンカメラを展示した。解像度はVGAクラスで30万画素となる。

また,ISO26262規格で定義されたリスク分類システムであるAutomotive Safety Integrity Level(ASIL)Bに対応していることから,従来は専用のディスプレーが必要だったが,直接ADASの一部として前方の監視や障害物の確認ができるようになった。ディスプレーの設置が不要のためコスト削減に貢献するとしている。

TDKは,ナイトビジョン用遠赤外イメージセンサーを展示した。遷移金属を搭載した高感度センサーであり,独自技術である他の電子部品の既存プロセスを利用してコスト減を実現した。

世界最小 (9.0 x 9.0 mm)VGAクラス (640 x 512ピクセル)を実現しており,シャッターレスオペレーションも可能。この製品は,車載ナイトビジョンカメラや監視カメラ・サーモグラフィ,また非侵襲血糖値センサーなどでの応用が期待されるとしている。(中山 朝葉)

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