ラムリサーチ,パルスレーザー成膜装置を発売

米ラムリサーチは,次世代MEMS技術によるマイクおよび無線周波数(RF)フィルターを実現する,世界初の量産向けパルスレーザー成膜(PLD)装置を発表した(ニュースリリース)。

この製品のシステムは,スカンジウム含有量の最も高い,窒素アルミニウムスカンジウム膜(AlScN)の成膜により,すぐれた性能,能力,機能を備えた最先端の消費者デバイスや車載機器の製造を可能にするとし,すでに一部の半導体メーカーに出荷されているという。

同社のポートフォリオにこの製品が加わることは,スペシャルティテクノロジーにおける包括的な成膜,エッチング,枚葉式洗浄装置からなる製品範囲をさらに拡大するとともに,この分野における継続的な技術革新を実証するものだとする。

RFフィルターはネットワークが処理できるバンド数を増やすことで5G,WiFi 6,WiFi 6Eの性能だけでなく,ユーザーの体験を向上させる上で重要な役割を果たす。MEMSマイクは5G対応デバイスの音声コントロール機能やノイズキャンセリングに不可欠な,こもった音も正確にとらえることができる高いS/N比が評価されている。

この製品はRFフィルターやMEMSマイクを最適化する高品質フィルムを成膜する。デバイスの性能は膜中のスカンジウムレベルが高ければ高いほど向上する。40%以上のスカンジウムからなる膜を成膜することができるが,これは現在利用可能な最高の濃度だという。

現状のスパッタ膜に対し,誘電損失が低く,2倍の圧電係数を持つことから,電気変換を最適化することで,RFフィルターの感度や,MEMSマイクの性能を向上させることができる。圧電特性の向上により,チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を鉛フリーのAlScNに置き換えることも可能だとしている。

この製品のプロセスでは,強力なレーザーパルスをターゲット材料に照射する。気化したターゲットが高密度の安定したプラズマプルームを生成し,薄膜がウエハー上に堆積する。厚みと応力が正確に制御された,高品質で均一な膜を実現するには,この技術が不可欠だという。また大量生産における薄膜の成膜にレーザーを使用する,初めての例だとしている。

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