光技術総合展示会「光とレーザーの科学技術フェア2023」(11月7日~9日 パシフィコ横浜)において,宇都宮大学山本研究室(可視光・次世代レーザー応用ゾーン V-05)は,各種空中ディスプレーの展示およびデモを行なっている。
同研究室が研究するのは,再帰反射性素子を用いた空中結像を中心とする空中ディスプレー。非接触でタッチパネルのような操作を実現できることから,銀行端末やエレベーターの操作盤などで実用化が進んでいる。
今回の展示の一つは,再帰反射性素子による空中ディスプレーに赤外線センサーを組み合わせ,空中に描画を可能としたもの。空中に表示されたパネルを指でなぞると,その軌跡が線となって表示されるほか,色もRGBから指で選ぶことができる。
もう一つは能面に照明を当て,空中に結像させるデモ。標示像の凹凸は実物と逆になるが,観察者は正しい凹凸が表示されているように見える「ホロウマスク錯視」により,観察者は左右に動いても能面の視線が常に合い続けるように見える。
また,別の技術としてアーク3Dも紹介する。これはアクリル板に彫られた太陽の絵を中心として,計算した大きさの多数の円を傷を付けるように描き,鏡の上に載せて照明を当てると,傷からの乱射反射が同じ太陽の像として空中に現れるというもの。
これらの技術は上述のユーザーインターフェースはもちろん,同研究室では伝統芸能である能の演出の一部といったメディアアート,ゲームのようなエンターテインメント,さらには,医療リハビリや水産・生物分野への応用も考えられるとしている。