浜松ホトニクスは,マイクロフォーカスX線源(MFX)をはじめとする電子管製品の売り上げ拡大に対応するため,建設していた豊岡製作所の第11棟が完成し,8月より稼働を開始すると発表した(ニュースリリース)。
同社は,医用や産業,分析,計測,学術などの幅広い分野に光電子増倍管やイメージ機器,光源などの電子管製品を販売している。
イメージ機器においては,電気自動車向けバッテリーやデータサーバー向け電子基板の非破壊検査に用いられるMFXの需要が急拡大し,生産能力の増強が急務となっているという。
また,印刷,殺菌向け低エネルギー電子線照射源のEB-ENGINEや,X線画像を可視像に変換する医療向けシンチレータ,質量分析装置や空港での爆発物検査装置などに使われるマイクロチャンネルプレート(MCP)の売り上げ増加も見込まれる。このため,新棟建設により生産能力を増強し,2027年9月期の電子管事業の売上高を約1,000億円まで拡大することを目指す。
新棟では,EB-ENGINEやMCPに加え,各種光源の開発,製造機能を移転し,生産能力を高めるとともに,今後の需要増加に対応するためのスペースを確保する。また,移転により発生する既存棟の空きスペースを利用し,MFXの生産スペースを大きく拡張するほか,シンチレータの生産能力も増強するとしている。
新棟の概要は以下の通り。
工費:約99.5億円
生産品目:EB-ENGINE,MCP,各種光源