NTTアノードエナジー(NTT-ae)は,太陽光発電の更なる普及に向け,建物構造の制約や耐荷重で,太陽光発電を導入できないといった課題を改善するため,ペロブスカイト太陽電池を用いた太陽光発電システムに関する共同研究を,有機系太陽電池技術研究組合(RATO)と4月から開始した(ニュースリリース)。
2050年のカーボンニュートラル実現に向け,太陽光発電や風力発電の導入拡大が期待されている。そうした中,太陽光発電の主流となっているシリコン系太陽電池は耐荷重や建物構造の制約で,一部の建物では導入できないといった課題がある。
ペロブスカイト太陽電池は,軽量かつ柔軟性が高いという特長から,この解決策として注目されている。また,日本政府が主導するGX実行会議(2022年12月27日) において,ペロブスカイト太陽電池の2025年までの技術確立および早期社会実装が議論されるなど,官民を挙げての研究・開発が進んでいる。
しかし,ペロブスカイト太陽電池は太陽光発電システムとしての研究開発事例が少なく,社会実装に向けてのエンジニアリング技術の確立は必要不可欠となっている。
同社は,ペロブスカイト太陽電池の研究・開発に取り組む複数企業で構成されているRATOに参画し,太陽光発電の構築などに関するノウハウを共同研究に生かすことで,新たな太陽光発電システムの開発に協力する。
具体的には,ペロブスカイト太陽電池の導入における,設計,構築,運用・保守等のエンジニアリング技術の獲得及び社会実装が可能な領域の知見獲得をめざす。期間は2023年4月~2024年3月の1年間だが,引き続き共同研究による課題解決が必要な場合,期間を延長する場合もあるとしている。
ペロブスカイト太陽電池は,耐荷重や建物構造の制約でこれまで太陽光発電パネル(設備)の設置が難しかった公共施設や都市部の建物等への導入が期待できる。
また同社は,今回の共同研究で獲得した技術や知見を活用し,ペロブスカイト太陽電池の社会実装を通じて,地域におけるエネルギーの地産地消を含む再生可能エネルギーの普及拡大をさらに推進し,2050年カーボンニュートラルの実現をエンジニアリングでも支援していくとしている。