AGCは,100%子会社のAGCエレクトロニクスにおけるEUV露光用フォトマスクブランクス(EUVマスクブランクス)の生産能力増強を決定したと発表した(ニュースリリース)。
EUVマスクブランクスは,非常に微細な半導体の製造工程であるEUV露光工程に必要とされるもので,低膨張ガラス基板の表面に複数の組成から成る膜を積層したもの。EUVマスクブランクスの表面に半導体チップの回路原版を形成したものがEUVフォトマスクであり,その回路をシリコンウエハー上に転写して半導体チップを形成する。
回路の微細化に伴い,EUVマスクブランクスに対する,・非常に小さなサイズの欠陥を限りなくゼロに近づけること・非常に高い平坦度であること,といった要求水準は、更に高くなっているという。
半導体の高性能化は,次世代高速通信や自動運転の実現をはじめとする高度な情報処理に不可欠。今後,高性能半導体の生産拡大に伴い,EUVマスクブランクスの需要は大幅な拡大が見込まれている。
同社ではこの需要増に応えるとともに,半導体製造プロセスの更なる微細化に必要とされる次世代品を生産するため,今回の生産能力の増強を決定した。なお,この生産能力増強は,経済産業省による「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の採択事業となっている。
増強した設備は2024年1月より稼働を開始し,段階的に増強を行なうことで,同社グループのEUVマスクブランクス生産能力は2025年に現在の約30%増になるとしている。