JDI,中国ディスプレーメーカーと戦略提携覚書締結

ジャパンディスプレイ(JDI)は,世界第3位の生産出荷規模を誇るディスプレイメーカー,中国 惠科股份有限公司(HKC)との間で,戦略提携覚書(MOU)を4月7日付で締結したと発表した(ニュースリリース)。

JDIは,2022年5月に,世界で初めてマスクレス蒸着とフォトリソを組み合わせた方式で画素を形成し,輝度・寿命を大幅に高める次世代OLED「eLEAP」の量産技術を確立した。同年8月にはサンプル出荷を開始し,量産を24年中に予定している。

また,22年3月には,世界で初めて第6世代量産ラインにおいて,従来の酸化物半導体薄膜トランジスタと比較して電界効果移動度が2~4倍以上となるバックプレーン技術「HMO」(High Mobility Oxide)の開発に成功しており,早期の量産化を目指している。

eLEAPとHMOは,それぞれ従来の技術では達成できなかった高輝度・長寿命・消費電力の低減を実現するとともに,既存生産プロセスを基礎から簡素化・最適化することで低コスト生産が可能となる。有機材料の使用量削減及び大幅なCO2排出量削減も実現する。

同社は,これらの技術を他社にも提供することにより,既存技術を超えた圧倒的なコストパフォーマンスを有する新しいグローバルディスプレー・エコシステムの構築を目指している。

HKCは,近年,大型ディスプレー分野において急速な成長を遂げているエレクトロニクスメーカーで,近い将来,中国での上場も企図しているという。同社は2017年以降,次々と第8.6世代ディスプレー工場での量産を開始して売上を急拡大しており,強力なコスト競争力,販売力,機動力,更には資金力も有するという。

今回両社は,JDIの「世界初,世界一」独自技術及び生産技術力,HKCのコスト競争力及び販売力,並びに両社の人材力の融合が,両社の企業価値の飛躍的向上に資するとの考えで一致し,MOUの締結に至ったという。

このMOUにおいて,両社は,以下の事項に関して2023年6月を目途とした最終合意締結に向けた協議を進めることを合意している。

1. 両社は,グローバル戦略パートナーとして,次世代 OLED「eLEAP」,共同開発センターGI2C(グローバルイノベーションアンドインダストリゼーションセンター),ハイエンド車載ディスプレー事業などについて,長期的・全面的・深い協力を合意した。
2. 両社は,世界最先端のeLEAP工場を共同で計画・建設し,2025年内の量産開始を目指す。
3. 双方は,世界をリードするハイエンドディスプレーソリューションの総合サービスプロバイダーとして成長することに共同して取り組み,次に掲げる市場のミドル・ハイエンド分野における中長期的な戦略的発展目標の達成に取り組む。
①ウェアラブル:2027年に出荷量及び市場シェア,世界1位
②車載:2028年に出荷量及び市場シェア,世界1位
③VR:2028年に出荷量及び市場シェア,世界1位
④モニター製品:2028 年に出荷量及び市場シェア,世界1位
⑤ノートブック及びタブレット:2028年に出荷量及び市場シェア,世界3位

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