千葉大,光触媒で二酸化炭素を燃料化する仕組み解明

千葉大学の研究グループは,酸化ジルコニウム(ZrO2)とニッケル(Ni)からなる光触媒を用いたCO2光還元反応の機構を検討し,ZrO2表面で酸素原子を失ったサイトが二酸化炭素(CO2)を捕らえ,紫外可視光の力で一酸化炭素(C2)に変え,COをNiに受け渡してメタン(CH4)を生成することを明らかにした(ニュースリリース)。

CO2を燃料に戻すカーボンニュートラルサイクルでは,燃料に戻す反応には再⽣可能エネルギーを⽤いることと,反応で⽤いる試薬や装備はなるべく安価であることが求められる。光エネルギーは再⽣可能エネルギーとして⼤いに期待できるが,CO2による環境問題に活⽤するためには,光反応システムの効率化が最⼤の鍵となる。

研究グループは先⾏研究で,ZrO2とNiとを組み合わせた光触媒がCO2から光触媒1gあたり毎時0.98ミリモルのメタンを⽣成する,世界最⾼レベルの触媒活性を報告しているが,なぜZrO2を⽤いたときだけ,CO2からCH4が選択的に得られ,酸化チタン,酸化亜鉛,酸化銅(TiO2,ZnO,CuxO(x=1,2))を⽤いたときには不純物からのCH4が多く⾒られるのか謎だった。

そこで研究グループは,酸化ジルコニウム(ZrO2)とニッケル(Ni)」からなる光触媒を⽤いたCO2光還元反応の機構を検討した。その結果,ZrO2表⾯で酸素原⼦を失ったサイトが⼆酸化炭素(CO2)を捕らえ,紫外可視光の⼒で⼀酸化炭素(CO)に変え,COをNiに受け渡してメタン(CH4)を⽣成することを明らかにした。

研究グループは,解明された反応経路や有効なサイトの情報を基にさらに有効なCO2光燃料化,あるいはCO2光資源化(光エチレンや光プロピレン)反応設計が可能になり,再⽣可能社会への実⽤化が期待できるとしている。

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