出光興産は,蛍光型青色材料を用いた有機EL素子において,新発光方式を開発し,世界最高レベルの発光効率と長寿命化に成功したと発表した(ニュースリリース)。
有機ELディスプレーを構成する赤色,緑色,青色の画素に用いられる発光素子のうち,青色発光素子の更なる高性能化,長寿命化が課題となっている。
今回の成果は,二つの青色材料の積層により,蛍光型素子の発光過程のうち電荷の再結合とTTFを起こす領域を分離することで発光ロスを抑え,高効率(EQE>14%)かつ長寿命の有機EL素子の開発および実用化に成功したとするもの。
この有機EL素子の性能の概要は以下の通り。
方式:発光層積層を用いた青色蛍光有機EL素子
LT95:400時間以上(電流密度50mA/平方センチメートルの駆動条件の結果)
EQE:14%(電流密度10mA/平方センチメートルの駆動条件の結果)
色度:(0.14,0.08)(CIE1931 色度座標)
従来技術に比べて発光効率向上と長寿命化を同時に実現するこの技術は,有機ELディスプレーの更なる省電力化,製品ライフサイクルの向上による環境負荷への低減に寄与するものだとしている。
なお,この成果は5月9日より米サンノゼで開催された「Display Week 2022」において,有機EL技術部門の最優秀論文に選定されたという。